p.1 誕生

p.1 誕生

私が生まれたのは、1983年、昭和58年の10月のある日。確か16時23分とかそれくらいだったと母親からは聞かされた。

O家の長男(姉一人)として、生を受けた。

産まれた場所は静岡県三島市にあるX病院、らしい。もちろん覚えてないので。大きさは3,300gくらい。ごくごく普通の健康的な赤ちゃんと思われる。

さて、本当に小さい、赤ちゃんの頃などの記憶は当然ないので、これ以上書けることはあまりないのだけれど、当時両親は三島市文教町という住所に居を構えていたらしい。

文教町、なんだかステキな響きに感じるのは当時住んでいたからなのか。

品のない不動産の広告で文教地区、とか出るとそのエリアは何だか箔がついた気がする。嫌悪施設がなくて、静かで品が良くて、並木道を爽やかな男女が本でも抱えながら歩いている、そんなイメージ。

しかしとにかく不動産屋は信じられない。これまで知り得た中でトップ3に入るくらい苦手な人達。これは長くなるのでまた別枠で。

で、三島市文教町が所謂文教地区かというと、別にそうでもないと思う。

特段思い入れはないけど、自分が育った場所と言われると、なぜか嫌いになれない、寧ろ好きかも、くらいの位置。これがもうちょっとダサい町名だったら、違う感情だったんだろうか。兎に角人生は選べないことが多い、その一つ。

そんなわけで、私の本籍は長らく三島市文教町。母親の実家が同じく三島市で、きっとその辺のアクセスの都合もあったのだろう。

色々な人の愛を受けて、幸せに育ったのだと思う。残念なのは、それを覚えてないこと。無邪気な自分をあまり知らないこと。

そう言いながら、「僕の小さい頃はどういう子で、何をしていたの?」とか、親や親戚に聞いたことは殆どない。

そこは最終課題に近いものを感じている。親や親族とは、ある時(それがいつかは分からない)を境に上手く会話ができない。

ここ最近(特に結婚してからくらい)は、大分素直に家族と話ができるようになった気がする。でもまだ、心のフィルターを通して会話をしている時がある。

この当たりをもっと掘っていくと、核心に迫っていく気がするが、ひとまず今は、自分の中だけで振り返られるだけの事を振り返ろうと思う。