p3. 幼少期②

p3. 幼少期②

家族から聞かされる、小さい頃のお馴染みエピソードがある。

2~3歳の頃だろうか。冷蔵庫に何か食べものがあると理解した私は、それを手に入れるために音が鳴るクッションの入った子ども用イスを冷蔵庫前に運び、それに上って冷蔵庫を開けようとした、というエピソード。

小さい頃からこの子は賢かった、天才か?!と家族が満足するエピソードに仕上がっている。ホントかウソかわからないが、冷蔵庫を開けられないように紐で縛った、と父親は語っている。

全体として私は記憶がないが、皆が言うのでまあそうなんだろう。

さて、幼少期の記憶と言えば、後は保育園となる。保育園は3歳から通い始めた。母親の職場(病院)が建てた保育園で、通勤する母の車に乗って通っていた。仕事が終わると、母が迎えに来て家に帰る。

1980年代ということを考えると、なんとも恵まれた環境だと思えるが、それはつまり病院という職場だったからだろう。看護婦さんのためである、看護師さんではなく。2020年に差し掛かる今、女性活躍推進が叫ばれる中で保育園・待機児童などの問題が出てきている。企業内保育所という考え方もあるが、まだまだ定着していない。なぜか。企業にとって「必要ない」からだろう。本当に必要なら、1980年代でも用意できたのだ。

さて、保育園の記憶と言ってすぐに思い浮かぶのは、園庭を囲むように咲いていたつつじの花の蜜を吸っていたこと。ピンクに咲いたつつじを摘んでは、蜜を吸っていた画をかなり思い出せる、きっと充実した時間だったんだろう。ちなみに現在では、つつじの花には毒性があるので食べてはいけないという話もある。ひょっとしたら自分の不都合な部分のいくらかはつつじの毒のせいじゃないかと妄想してみた。都合のいいように考えるのは、簡単な事だとよくわかる。

次に思い出すのは、当時好きだった女の子。名前も顔も思い出せないが、ほのかな思いを抱いていた。いや、当時は積極的に行動に移して、一緒にお昼寝をしていたりした。それなりの時間一緒に居た気がする。両想いだった気がする。でもこれは全て美化された妄想かもしれない。あちらとしてはほっぺの赤い小僧が自分の周りをウロウロして大層ややこしかったかもしれない。

想い出は妄想によって美化され、自分の中だけの既成事実になる。妄想に嘘は存在しないから。これ、ストーカーのそれと一緒だが、なにせ幼少の頃なので勘弁してほしい。今日の妄想は自分の心の中だけにとどめて居るから。

あとは、保育園の2階の広い部屋でお昼寝をしたこと。黒い遮光カーテンで部屋を真っ暗にして、皆で横になった。隙間から漏れる光が目に刺さる、そんな画を覚えている。